シンガポール・コラボ企画最終回は、
シンガポールの美しいプラナカン文化をご紹介します。
プラナカン文化の特徴といえば、
なんといっても、
きれいなパステルカラーと縁起の良い牡丹と鳳凰の柄です。
それが、テーブルウエアや
ビーズ刺しゅうのサンダル(ミュール)、バッグなどに
施されていて、それはそれは美しいのです。
シンガポールに住む外国人女性にもとても人気があり、
コレクションする方も多いとか。
憧れのひとつになっています。
中国とアジア、ヨーロッパがまじりあう「プラナカン」
そもそもプラナカンとは、
15世紀ごろから、仕事を求めてマレー半島にやってきた
中国人たちの子孫のことをいいます。
彼らは地元マレーの女性と結婚し、マレー半島に定住していきました。
男性を「ババ(Baba)」女性を「ニョニャ(Nyonya)」と呼び、
彼らを総称して「プラナカン」と呼びます。
また、プラナカン文化のことそのものや、
プラナカン・スタイルのことを「プラナカン」ということもあります。
彼らがもっとも栄華を築いたのは19~20世紀、
マラッカ、ペナン(マレーシア)、シンガポールの三都が
英国の海峡植民地だった時代で、
錫の鉱山や貿易などの商売で成功し、
巨万の富を得て、たいへん贅沢な生活を送っていました。
時流に乗り、子どもたちは英国に留学させたり、
英国式のマナーを身につけさせていました。
プラナカンの人々は、純マレーでもなく、純中国でもなく、
ヨーロッパやアジアのさまざまな文化を折衷させて
独自の文化をもつようになっていきました。
プラナカン・スタイルの建築のある街並み
シンガポール市内には、
プラナカンのコミュニティーがあったエリアがあり、
プラナカンの伝統的な家屋のショップハウスや
テラスハウスを見ることができます。
ショップハウス、テラスハウスとは、
間口が狭く、奥行きが深い建物で、
もともと中国の南部にみられる建築様式です。
プラナカンのショップハウスは、
ネオゴシック調、バロック調など、いろいろな西洋建築の
要素を取り入れたプラナカン・スタイルとなっていて、
窓やレリーフなどおしゃれなものが見られます。
ショップハウスは、1階が店舗やオフィス、2階以上が住居部分。
テラスハウスはすべてが居住部分の建物です。
高級住宅地で、裕福なプラナカンが住んでいた
エメラルド・ヒルというエリアのショップハウスは、
重厚感もあり、装飾も華やかで、
とても瀟洒な建物が並んでいます。
ニョニャ・ウエア(プラナカンの陶器)のいろいろ
プラナカンの人々の伝統の工芸品であるニョニャ・ウエアを
インテリアに取り入れて、プラナカン・スタイルで、
お茶とお花の時間を味わってみたいと思います。
ニョニャ・ウエアは、19世紀に中国の景徳鎮などで
プラナカン用に製造されたものです。
(一部日本の有田、柿右衛門のものもあり、
プラナカン博物館に展示されています)
中国の伝統陶器には見られない、
ブルー、ピンクなどのパステルカラーが特徴的です。
描かれている柄は、鳳凰、牡丹の花などで、
とても女性らしい華やかなものです。
プラナカン独特の色合いですが、
形は中国の急須や蓋碗、茶杯と同じものを使っています。
ニョニャ・ウエアに花を飾る
色のきれいなニョニャ・ウエアに、
白のランをアレンジしました。
色、柄のあるニョニャ・ウエアなので、
シンプルに一色一種のランを選びました。
プラナカンのもう一つの芸術品、ビーズ刺しゅう
プラナカンの若い女性たちは、
花嫁修業のひとつとしてビーズ刺しゅうの技術を習得します。
18世紀終わりごろ、
ヨーロッパからガラス・ビーズが入ってくると、
それまでは中国式のシルク刺しゅうや
インド式の金銀の糸を使った刺しゅうから、
美しいビーズを使った刺しゅうに流行が移りました。
代表的なものはサンダルやスリッパで、
花嫁は修業を積んで、
未来の花婿のために作ったのだそうです。
そのサンダルは、3世代にわたって使えるものでした。
シンガポールにプラナカン博物館があります。
そこに、美しく精巧なビーズ刺しゅう作品の数々が
展示されています。
色は、ニョニャ・ウエアと同じように、
ピンクやブルーなど、パステルカラーを使い、
デザインは、鳳凰や花などのほか、
イギリスをはじめヨーロッパのニードルポイントのデザインのような、
西洋的なものも多く見られるのも、とても興味深いところです。
シンガポールより、シリーズでご紹介しました
4つの民族の4つの文化。
それぞれ異なる特徴があり、とても魅力的でした。
シンガポールは異なる民族・文化が融合してできた国です。
街中でも重要なものは4か国語表記になっています。
★【シンガポール】
Singapore(英語)
Singapura(マレー語)
新加坡(中国語)
சிங்கப்பூர்(タミル語)
multi-racial(多民族)
multi-cultural(多文化)
and multi-lingual society.(多言語)
そこがとても魅力的な都市であり、
シンガポールの特徴となっています。
機会がありましたら、ぜひ訪れてみてください。
異国情緒をたっぷり味わうことができますよ。
お茶の時間コーディネーター&フォトスタイリスト 倉橋由利子
Lilyのお茶時間in Singapore
フラワー&フォトスタイリスト 海野美規
Petit Salon MILOU