フランスのちょうど真ん中あたりにある、オーベルニュ地方。
この地方は豊かな自然が残っており、
そこで取れるじゃがいも、キャベツ、レンズ豆、
肉加工品やチーズを利用した料理が特徴で、
基本的にシンプル&素朴なお料理が多いです。

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特に有名な郷土料理は『オーベルニュ風ポテ』、『アリゴ』、
そして、ご紹介する『塩漬け豚肉とピュイ産レンズ豆の煮こみ』など。
ポテとは豚肉を使ったポトフ、
アリゴとはマッシュポテトとチーズを練り上げ、
糸をひくように伸びるお料理です。

今回の煮込みの作り方はとってもシンプルですが、
1週間熟成した塩漬け豚の旨みがギュッと豆に染み込んで、
豚肉はホロホロに柔らかく、びっくりするほど深い味わいが出ます。
コンソメなどのダシも使わず、味つけは塩漬け豚の塩けのみです。
できればルクルーゼやストウブなど
厚手で重みのある蓋のお鍋で、じっくり煮こんで作るのがおすすめです。
ぜひ、お試しください。



【材料(4人分)】


塩漬け豚肉
 豚肉ブロック ・・・・・・ 500g
 塩 ・・・・・・ 小さじ2
 粗挽き胡椒 ・・・・・・ 適量
 砂糖 ・・・・・・ 少々
 タイム、ローリエ ・・・・・・ 適量
ピュイ産レンズ豆 ・・・・・・ 200g
にんにく ・・・・・・ 1片     
玉ねぎ ・・・・・・ 1/2個   
人参  ・・・・・・ 1/2本
セロリ ・・・・・・ 1/2本
白ワイン ・・・・・・ 50cc
水 ・・・・・・ 600cc
ローリエ ・・・・・・ 1枚
ソーセージ ・・・・・・ 4本


【作り方】


①塩漬け豚肉を作ります。
 豚肉に金串などで無数に穴をあけ、塩・粗挽き胡椒・砂糖・タイム・
 ローリエを全体にまぶして、もみ込みます。
 バットに網を少し傾けて置き、豚肉をのせて、
 何もかぶせずに冷蔵庫で1週間~10日ねかせます。
②塩漬け豚肉を適当な大きさに切ります。
 にんにくは皮と芽を取り、香りが出やすいように叩きつぶします。
 玉ねぎ・人参・セロリを3㎜角に切ります。
 レンズ豆はさっと洗い、ザルにあけます。
③鍋にオリーブオイルを熱し、塩漬け豚肉の全面に焼き色を付けます。
④③ににんにく、玉ねぎ、人参、セロリを加えて、よく炒めます。
⑤白ワインを入れてアルコール分を飛ばし、水、ローリエを入れて沸騰したら
 アクを取り、蓋をして弱火でコトコト1~2時間煮込みます。
⑥レンズ豆を入れてさらに約30分、豆が柔らかくなるまで煮込みます。
⑦ソーセージを加えて軽く煮込めば出来上がりです。

☆塩漬け豚肉とはフランス語でプティサレ、
イタリア語ではパンチェッタです。
無数に穴を開けることによって肉の中まで塩分が入り、
その塩分によって余分な肉の臭みと水分が抜けやすくなります。
多めに作って、ベーコンの代わりに塩漬け豚肉でカルボナーラを作っても
美味しいです。

☆オーベルニュ地方の特産品ピュイ産レンズ豆はAOCにも指定され、
他のレンズ豆よりも高価ですが、
綺麗な濃い緑色をしていて粒もそろい、煮崩れしにくく、味も良いです。

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料理・スタイリング・文: 
料理家&フードコーディネーター 結城寿美江
日々センスを磨くために

撮影: 南都礼子