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フォトスタイリスト窪田千紘です。

春になって、いろいろな新商品や新しいブランドが立ち上がってきているのをみていて、ふと感じるのは、
「自分の好きを見極めることがとても大事な時代」になった、ということ。

街を見回しても、ネットで検索していても、
ありとあらゆるところに 可愛いもの、素敵なものがたくさんあふれています。

モダンなもの、ガーリーなもの、ナチュラルなもの・・・
いろいろな工夫を凝らした楽しいものがたくさんあります。  
その中で、自分はどれが本当に好きか、どれが必要かをしっかり知ることが、
一層、必要な時代に入っていると思います。

でも、案外、これが難しい。

実際のところ、普通はどの世代の女性でも、気に入ったものを目にすると
「うわ~いい感じ♪」という風になってテンションもアップ!してしまいます。

その雰囲気だけで、あと先分からなくなるのが女性の常。

これまで数千人の女性たちと触れ合ってきましたが、
この傾向は世代を問わず、どの年齢の女性にも起こる傾向です。
もちろん私にも・・・笑

ある意味、これは脳に快楽の物質が充満しているときなので、
とっても楽しい瞬間。
悪いことでもなんでもないのですが、

ふと、何かの折に自分の暮らしを振り返ってみると、
「あれ?私って何が好きなんだっけ・・・」ということで
どれが本当に好きなのか、自分でもわからなくなっていたりします。

この心の動きを虎視眈々と?!待ち構えているのが企業。
「どこで女性ユーザーは心動かされて、どんな場合に購買に踏み切るか・・・」ということを
しっかりリサーチしてプレゼンテーションしています。

つまり、私たちその「プレゼンテーション」に
知らないうちに「乗ってしまって?!いる」状態。

たとえるなら、40代前後の大人の女性に大人気、
誰もが好感をもって支持が高いモデルの梨花ちゃんのような雰囲気。

これは、 まさに入念にリサーチとブランディングを繰り返した
企業のイメージ力そのもの。

だれもが梨花ちゃんになる必要はないはずなのに、
いいなぁと感じ、憧れる・・・・・・、だって、そう「仕組まれている」から。

だからこそ、私たちはそうしたプレゼンテーションのさまざまな流れを、
どれが自分にとって「素敵でどれが好き」なのかを 
自分自身に常に問いかける必要があると痛切におもいます。

そうでないと、本当に自分がどんな人生を送ったらいいのか、
どんな暮らしをしたらいいのか、どんどん分からなくなっていく気がします。

「Aもあっていい」「BもOK」 「どれも全部OK」という、
ある意味有難い自由の時代。
だからこそ、その中で「自分の本当の気持ちを読み取る」という力が
一層、必要になっていると思います。

私自身、こうした流れの中にいると、
「えらい時代に、突入したなあ・・・」と、つくづく(笑)

だって、そういう教育を一切受けていないもの(笑)
学校では先生が見本を示してくれたし、雑誌が流行を教えてくれたもの・・・

「自分で感じ取って、見極める・・・」

言葉で表すことはできますが、
実際の生活の中で的確に選び取っていくとなると・・・・・・

幸せな反面、一方で大変です。

 

文&スタイリング 窪田千紘

撮影 南都礼子