気軽なHerbal lifeを提案しているHerb専科 葉月のTeiko Nozakiです。
山形はその昔、「紅花」の一大産地として繁栄を極めた場所です。
数こそ少なくなりましたが、半夏生を過ぎると紅花があちらこちらで咲き始め、
それにまつわるお祭りが開催されています。
わが家では今年、隣の畑のおばあちゃまからいただいた紅花を、
風通しの良い日陰に吊るして乾燥させ、ドライフラワーにしてみました^^
紅花は、こんな風にドライフラワーにして楽しんだり、
染料として利用したり、種から食用油をとったりと
さまざまな形で活用されてきた身近な植物。
また、和漢ハーブとして、太古の昔から健康維持に利用されてきた歴史があり、
かの有名な養命酒にも紅花が入っています。
近頃は、自然派志向から漢方や生薬が注目されていますが、
「何か難しそう・・・」、「独特なにおいと風味が苦手・・・」
などの声を耳にすることが。
そこで、簡単でしかもフルーティーな味わいを楽しめる
「紅花で作る和漢ハーブ酒」をご紹介したいと思います^^
【材料と準備する器具】
・紅花の乱花(A) ・・・・・・ 10g
・ウォッカ アルコール分40%(B) ・・・・・・ 500ml
・清潔なガラス製密閉瓶 ・・・・・・ 1個
【和漢ハーブ酒の作り方】
清潔なガラス製密閉瓶に紅花の乱花とお好みのウォッカを入れ、
2週間ほど冷暗所で寝かせれば完成(C)。
紅花の乱花は、漢方薬局や漢方専門店で手に入ります。
山形県内では県花ということもあり、
物産店や場所によってはスーパーなどで手に入ることも。
紅花を乾燥させた物には特有のにおいがありますが、
ウォッカに漬け込むとほとんど気になりません。
完成した紅花酒を、お好みの果汁100%ジュースで割っていただくと、
フルーティーな味わいを楽しむことができます。
砂糖が入っていないので、いろいろなアレンジが楽しめる和漢ハーブ酒。
カクテル感覚で楽しんでみてはいかがでしょう^^
今回紅花についてさらに詳しいことが知りたいと思い、
山形で150年の歴史を持つ株式会社萬屋薬局を訪れてみました。
健康維持のため普段から漢方を活用しているという、
代表取締役であり薬剤師の中村妙子氏のお肌は、
ハリとツヤがあり思わず目が釘付け!
「美容に健康は不可欠!」というお話に、大いにうなずけるものがあります。
ー生薬としての紅花の特性を教えて下さいー
血液の流れを良くするとして、婦人病や冷え性、更年期障害などの血行障害の治療に用いられています。 古くは傷寒論(しょうかんろん:3世紀頃中国)に、紅藍花酒(こうらんかしゅ)を用いて、婦人病を治したという記述が残されているそう。
ー使用するにあたって、どんなことに注意したらよいでしょうかー
妊婦さんや妊娠している可能性のある方、月経過多・出血傾向のある方は、使用に当たっては注意が必要です。 使用する前、専門医や漢方専門薬局に相談してみるとよいでしょう。
D:萬屋薬局にて創業以来使用されている百味箪笥。 桐製で、小さな引き出しには漢方薬が入っています。
E:高麗人参。漢方薬局ならでの標本があちこちに展示されて。
F:薬草を磨り潰すために使われていた薬研(やげん)。 歴史を感じさせる展示品の1つ。
いくつかお借りした文献の中でとても興味深かったのが、
元々化粧は病気から身を守るために行われていたということ。
唇に紅花を塗りそれを少しずつ摂取することで、
生理不順や冷え性など女性特有の症状を改善していました[1]。
近年では科学的な実験により、
紅花に「鎮静作用」、「抗炎症作用」、「発がん予防作用」、
「コレステロール上昇予防作用」、「抗菌作用」、「活性化酸素消去作用」、
「血液をサラサラにする作用」も認められ[2]、
先人の知恵が証明されつつあるようです。
ところで、その名に「紅」とついている紅花ですが、
99%以上は黄色い色素で、紅色は1%にも満たないそう。
飲み終えたグラスにも、きれいな黄色い色素が残って。
だから、紅の原料となる紅花の加工品はとても高価で、
その価値は「金の十倍」とも言われていた時代がありました[3]。
ふと当時の女性達を魅了した紅花に思いをはせながら、グラスを傾けて・・・。
そう言えば、山形の夏の風物詩・花笠おどりの「花」は「紅花」を表していて、
今でも山形と紅花は、とても深いつながりを持っています^^
最後に、今回の取材・撮影にご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。
取材・撮影協力
株式会社 萬屋薬局
〒990−0054 山形県山形市六日町2−3
TEL 023−623−1805
http://www.e-classa.net/yorozuya/
参考文献
[1] 武田薬品工業株式会社 生薬の花 2011.81.
[2] 笠原 義正 山形県衛生研究所 山形県村山総合支庁産業経済部商工労観光課 創作紅花料理レシピ集 2001.10.
[3] 山形県村山総合支庁観光振興室 2014山形紅花MAP
リポート・撮影&フォトスタイリング
Teiko Nozaki
Herb & Aromatherapy Lab Herb専科 葉月
Herb専科 葉月のFour Seasons Diary