スタイリングの世界で、
ここ数年のキーワードは、“余白”。
余白を意識して、夏のシーンをスタイリングするなら、
たとえば、こんな作品をつくることができます。
日常で使う“白”のアイテムを集めたコーナー。
アイテムを見せるなら、ぐっと寄りたいところですが、
この写真の涼しげな空気感は、
左側にたっぷりと空けた“余白”がポイント。
テーブルにかけた布が、
少し下がっているところまで空間を入れることで、
余白が生きてくるのです。
白には、さまざまな色み、表情がありますが、
ここでは硬質なツヤ感のある白で、統一。
個性的なデザインのものを、目を引くポイントにしています。
合わせる布は、ドレープでやわらかさを出せるものを。
ドレープに生まれた光と影のニュアンスを取り込むことで、
色の少ないシンプルなスタイリングを
豊かな情感を感じさせるものに仕上げています。
こちらの作品は、さらにシンプルで、静謐な世界。
繊細で、モダンな美しさをたたえた
スガハラガラスのグラスが主役です。
細いカッティングを魅力的に見せるには、
透過して下地に映る、光と影のニュアンスを使います。
主役のグラスと、それを透過する光と影。
そのバランスがもっとも美しく見える配置、
つまり余白をデザインすることが、スタイリングの最大のポイント。
美しい構図、バランスをつくるために、
実は左端のクリアなグラスが
とても重要な役割を果たしています。
いま、最も旬なスタイリングである
“余白”のデザイン。
ぜひ注目して、世界のアートやデザインをチェックしてみて。
スタイリング 窪田千紘、ササキトモコ
撮影 南都礼子
文 藤岡信代