イデーの「DIMANCHE」シリーズデザイナー マリナ・ボーティエさん



イデー自由が丘店のリニューアルと同時に、
家具シリーズ「DIMANCHE(ディモンシュ)」の新しいラインナップを発表。
今年5月に発売されたソファとローテーブルに加え、
ダイニングテーブル、チェア、トロリーが加わりました。

デザイナーのマリナ・ボーティエさんは、ベルギー出身で、
イギリスで家具づくりを学び、
2014年にBelgium is Designの「デザイナーズ・オブ・ザ・イヤー」を受賞。

「リラックス」や「解放」をキーワードにした
フランス語で「日曜日」を意味する「DIMANCHE」について伺いました。

イデーの「DIMANCHE」シリーズデザイナー マリナ・ボーティエさん

―― 今回、シリーズをラインナップされた「DIMANCHE」の
コンセプトを教えてください。


イデーには80年代の創業期から続く「Paysan(農夫)」というシリーズがあるのですが、
そのスピリッツを生かし、革新的にモダナイズするというのが、
今回の「DIMANCHE」のプロジェクトです。

プロジェクトのスタートにあたって、
イデーのスタッフと「Paysan」のスピリッツについて話し合いました。

ホームメイド、家で過ごす時間、高品質、
自然の素材を家の外から中へと取り込む・・・などの
キーワードが出てきました。

それらを生かし、特定のスタイルに限定されず、場所も選ばない、
「Timeless」な家具をデザインしようと思いました。

―― 具体的には、どうデザインを進めたのですか?

「Paysan」のシリーズは、私にはちょっとクラシカルに映ったんですね。
そこで、形や素材は無垢に近い状態へと近づけて、
ベーシックでシンプルにすることにしました。

デリケートで複雑な形状のものも考えたんですが、
それでは表現しきれないと考えました。

さらに、Welcomingな、人を迎え入れる雰囲気を出したかったので、
ディテールや素材にソフトなタッチを取り入れました。

たとえばソファは、アームの部分に丁寧に削りを入れて角をなめらかにし、
ファブリックのソフトなクッションを組み合わせています。
角ばった形のハードな印象と、ディテールや素材のソフトな印象。
そのコントラストが、
現代の暮らしに合う、快適でタイムレスなデザインだと思います。


イデーの「DIMANCHE」シリーズデザイナー マリナ・ボーティエさん




―― マリナさんご自身が考える「快適な暮らし」とは、
どういったものですか?


私自身は、あたたかみのある自然素材が好きで、
装飾過多なものはあまり好みません。
このプロジェクトを立ち上げたとき、
「DIMANCHE」のコンセプトは自分のライフスタイルに近い!
と感じました。

―― イデーはどういったブランドという印象をお持ちですか?

最初にイデーのコレクションを見たとき
幅広いテイストのものを扱っている、と感じました。

イデーでは、2007年に初めてのコレクションを発表し、
2012年に2つめ、今回の「DIMANCHE」が3つめになります。

1回目は自由に提案をさせてもらい、
2回目からは具体的なアイテムなどのリクエストを受けた上で、
デザインを提案しました。

幅広いテイストを扱うイデーのコレクションだからこそ、
自分のスタイルを崩すことがないように、と心がけています。

――マリナさんのスタイルとは?

まさに、今回の「DIMANCHE」が語ってくれていると思います。

私は木の素材が好きなんですね。
木材はそれぞれに個性的で、バラエティに富んでいて、
それは「生きている」ということだと思うんです。

そして、シンプルでありながら温かみも表現できる。
そういった木の使いやすさを常に頭に置いて、デザインをしています。

それから、組み立てのプロセスといった生産工程にも関心があります。
もっと賢いやり方があるのでは? と考えることに価値がある、と
考えているんです。


イデーの「DIMANCHE」シリーズデザイナー マリナ・ボーティエさん


――個人的な興味なのですが、どんな家具がお好きなんですか?

そのときどきでいろいろあるのですが・・・、
デンマークの家具デザイナーのモーゲンセンが好きですね。
家具のアイテムという意味では、
布張りや革張りなど、素材の違うものと木の組み合わせができる
ソファやチェアが好きです。

――今回の発売にあたってメッセージを

日本の皆さんが喜んでくださると嬉しいです。
今後もイデーと仕事をしていければと思います。

 

撮影:南都礼子
取材・文:藤岡信代