今年も残りわずかとなりました。
PIANO SALON OTOHA主宰&フォトスタイリストのOTOHAです。

2016年は、フランスの作曲家エリック・サティの生誕150周年、
そして昨年が没後90年でした。

2年連続のアニバーサリーイヤーということで、
国内外いたるところで
サティをテーマにあらゆるイベントが催されました。

この機会に初めてサティの音楽や記事に触れたという方も
数多くいらっしゃったことと思います。

私も、この夏彼の生まれ故郷である
オンフルールを訪れた思い出をふり返り、
この祝祭の終焉を偲びたいと思います。

サティの生まれ故郷を訪ねて

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オンフルールは、北フランスノルマンディ地方の港街です。

20161231_02街の数か所にサティにちなんだ
イベントのポスターがそっと貼られていました。

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港近くにあるエリック・サティが12才まで住んでいた家、Maisons Satie
1998年より一般公開され、サティの生涯と創作活動が分かりやすく展示されていました。

ところで、今やサティのシンボルマークともなっている西洋梨のマーク。
これは何を表わしているかご存知ですか?

これは、連弾ピアノ曲「梨の形をした三つの小品」の梨のことなのです。

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Maisons Satieに飾ってあった巨大な梨のオヴジェ。

ピアニスト、詩人であり、
エリック・サティの演奏と研究の第一人者である
ジャン=ジョエル・バルビエ氏によると、
「梨の形(フォルム)をした小品」というタイトルは、
ドビュッシーがサティに形式(フォルム)を大切にするよう、
あるいは自分自身の様式の(フォルム)を確立するように
忠告したことから生まれたといわれる」とのこと。
《参考著書『サティとピアノで』(リブロボート出版/ジャン=ジョエル・バルビエ著・相良憲昭氏訳》

では、なぜフォルムが梨だったでしょう?

「梨」はフランス語の俗語的表現では、
人からだまされやすい、少々おめでたい人を指すそうなのです。

「唯々諸々と友人の忠告に従わざるをえない
音楽家の悲哀のような意味も込められいるのかもしれない」のだとか。

また、このバルビエ氏は、以前ご紹介させていただいた
ピアニスト柴野さつきさんの恩師です。



バルビエ氏は、『サティとピアノで』の序文で、
「サティと日本人の心の間には
互いに“沈黙を聴き取る”という交感があるように感じる」と述べています。

現代において、サティが日本で愛される訳も
ここに秘められているように思います。

この度、かつて故バルビエ氏と柴野さつきさんが
パリで連弾なさった「梨の形(フォルム)をした小品」の中より
「開始のひとつのやり方」の動画をお借りすることができました。

ゆく年くる年に思いを馳せながら、
不思議な万華鏡とも表現される
この曲の序章を味わってみてはいかがですか?


エリック・サティ「梨の形をした3つの小品」より「開始のひとつのやり方」
Satsuki Shibano (柴野さつき) : Piano ,
Jean-Joel Barbier (ジャン=ジョエル・バルビエ) : Piano 
Live at Espace Japon 12.18.1981
Trois morceaux en forme de poire - Maniere de commencement / Erik Satie

「サティさんはかわりもの」のリサイタルを終えて

そして、私も先日12月11日(日)に
私が主催したオールサティプログラム「サティさんはかわりもの」のリサイタルで
この曲をかつての生徒さんと演奏しました。


「サティさんはかわりもの」のリサイタルのアフターパーティで、
クラススタイリングチームの米山優美子さんと浅香智子さんが、
サティがピアニストとして働いていた黒猫亭のクリスマスをイメージして
カクテルパーティを開いてくださいました。

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その時の模様を綴ったおふたりのBLOGもどうぞご覧ください。

パーティコンサルタント 米山優美子さん





フードコーディネーター 浅香智子さん



その時の演奏曲とオンフルールでの写真たちはこちらからどうぞ♪

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サティのメモリアルイヤーは2016年で終わってしまいますが、
サティの音楽は、これからも弾き続けていきたいと思います。

では、みなさま良いお年をお迎えください。

文・写真  *OTOHA*  

Blog:otoha.me