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庭摘みの花のフォトスタイリスト
海野美規です。

庭に咲く小さな花をシンプルに
ナチュラルに生けるスタイルを
愉しんでいます。

ピーターラビットはお好きですか?
世界一有名なうさぎ、ピーターラビット。

ピーターラビットといえばイギリス。
イギリスといえば
イングリッシュガーデン。

ピーターラビットのいる風景は、
あの憧れのガーデン風景、
舞台となった湖水地方の
田園風景そのものなんです。


「ピーターラビットのおはなし」は、
1902年にイギリスで出版された絵本です。 
作者は、ビアトリクス・ポター。 
イギリス湖水地方の
小さな村を舞台にした、
かわいいうさぎのお話です。
もともと5歳の男の子に
宛てた絵手紙が、
この物語の始まりです。 

昨年はビアトリクス・ポター
生誕150周年の絵本原画展が
各地で開催されました。
 
11月には、
『ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生 ピーターラビットの絵本の風景』
と言う書籍も出版されました。
この本は、ポターの生涯と
ピーターラビットをはじめ、
ポターの絵本に出てくる植物について
書かれていて、
ピーターラビットファン、
ガーデニングファンにとって、
とても興味深く楽しい内容になっています。
今回は、こちらの本を
ご紹介したいと思います。


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『ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生 ピーターラビットの絵本の風景』
著:マルタ マクドウェル、訳: 宮木 陽子
発行:西村書店


ポターが描くうさぎは、
服こそ着ていますが、
毛並みや、足の動き、
足の形、体の形が、とてもリアルです。

あまりにも動物の絵がリアルすぎると、
ちょっと怖い印象になりそう。
でもポターが描くと、
ピーターはうさぎのかわいらしさが
倍増して生き生きとしています。
今にも本から飛び出してような感じです。
ピーターが、ただかわいいだけの
キャラクターではないところが、
この絵本の大きな魅力の
一つだなと思います。

時代を超え、世代を超え、
国を超えて、ずっと愛され続けている
理由の一つではないのでしょうか。


ページをめくるたびに、
かわいい仕草のピーターに
釘付けになるのですが、
背景に注目すると、
実は、またまた心躍る世界が
広がっています。
 
背景なのに、
ただの絵本の背景ではない!
ポターの描く植物の世界。


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例えば、
ピーターがマクレガーさんの畑で、
はつかだいこんを食べる有名なシーン。
 
ピーターの背丈よりも
大きく育った野菜は、
よく見るとインゲン豆が
実をつけていて
そして葉を大きく茂らせていますし、
その手前はレタス。
 
ピーターが両手に持っているのが、
はつかだいこん。
(ニンジンのように見えますが、
物語の中では
はつかだいこんとなっています)
よく育ってみずみずしい畑の中で、
美味しそうに
はつかだいこんを食べています。
バリバリ、むしゃむしゃという
音が聞こえてくるようです。
ピーターは、夢中で新鮮な野菜を
食べたんだなと想像が膨らみます。

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この『ビアトリクス・ポターが愛した庭とその人生 ピーターラビットの絵本の風景』は、
植物の解説だけではなく、
園芸家としての活動や、
裕福で厳格な家に生まれて、
女性が職業を持つことが
難しい時代にあっても、
自分の作家になる夢を
あきらめなかった
ビアトリクス・ポターについて
知ることができます。

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著者は、アメリカ在住の
マルタ・マクドウェルさん。
彼女もまたの造園家であり、
園芸にまつわる文筆活動や
講義をおこなっている方です。
 
この本の序文のところで、
マクドウェルさんは、
「みなさまにはぜひ『ピーターラビットのおはなし』シリーズを手元において、
本書を読んで
いただきたいと思います。
ビアトリクスの本を
読むのは楽しいし、
それによってビアトリクス本人のことも、
ビアトリクスの庭のことも、
いっそうよく理解できると
思います」
と書いています。

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私も彼女のアドバイスのように、
『ピーターラビット全おはなし集』を側において、
この本を繰り返し楽しみました。
ピーターラビット好きな方、
ガーデニングやお花が好きな方におすすめの一冊です。

海野美規
Instagram:anne_garden